業務委託により個人事業主などに業務を依頼する場合、契約社員扱いであったり、所得税法204条で規定される職種であった場合には源泉徴収が義務付けられます。契約社員の場合、よほど専門性が高かったり、特別な外部役員として雇用でもされない限りは一般的な社員と年収に差が無く、甲類・乙類などの種別があるにせよ源泉徴収の内容にも大差はありません。

年収という観点から所得税の徴収方法を見た場合でその特殊性が顕著なのは、所得税法204条に規定された職種ということになります。弁護士や司法書士、テレビ出演者やプロスポーツ選手などの専門的技能を職務遂行に要する職種が主にこれにあたりますが、これらは概して高額な年収を受け取るケースが普通です。

さらに、その年収に応じて税率が変わってくるものもあるため、源泉から徴収額を算定して天引きするクライアント側としては注意を要する案件であると言えます。所得税法204条に規定されている職種の中で年収が最も低いと言われているデザイン業に関しても、グラフィックデザイナーなどでは一般的年収が600万円前後と言われており、自分でマネジメントやコンサルタントも行うデザイナーの場合は年収1000万円を超えているケースも珍しくありません。

このような業務委託先の所得税の徴収額を算定する際はやや特殊な税率を算定しなければならないため、クライアントとしては手続き内容が増えてしまいます。しかし、支払った消費税は自身の売上にかかる消費税から差し引くことができるため、こうした職種に対して源泉徴収を行うことは、クライアント側としてもメリットがあります。